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2016.03.14

「時代が私に追いついたのかしら」

アイリス・アプフェル! 94歳のニューヨーカー

映画館で映画を見たくてたまらない周期がやって来て、
久しぶりに週一ペースで映画館に行っています。
楽しい。

友達が見たいーと言っていたのがきっかけで観に行った映画。
ドキュメンタリー。
最初に見た時、「あれこの人たぶん知ってる」と思ったんだけどはっきりとは思い出せず。
映画見てる最中に思い出した。

「ビル・カニンガム&ニューヨーク」に出てた、「私は世界で一番年を取ったティーンエイジャーなの」のおばあちゃんだ!
このドキュメンタリーも大好きで、その映画を見た時の感想はこちら

キュートな偉人は皆ニューヨークに居るのかと突っ込みたくなってしまうけど、
日本では東京にすべてが集まるように、ニューヨークに彼らが存在するのは当然のことなのかもしれない。


以下、ネタバレあり感想。



「あなたは一生美しくはなれない。けれど、他の人にはないセンスがある」
アイリス・アプフェルさんが若かりし頃、通っていたお店のオーナー(マダム)に言われたそうな。
はっきり言いすぎだろ。
でも、他の人にはないものがある、と言われたことは、彼女が既に持っていた核を確固たるものにしたんだろうと思う。
「美しさなんかいらないわ」
と、言える強さよ。
でも、ビル・カニンガムもそうだったけど、
己のしたいことを知っていて、それに邁進し、突き詰め、更にその先を求めて、
好奇心とユーモアを忘れず生きていく人の姿は、どうしたって美しい。
おばあちゃん、あなたは美しい人だよ。本当に!

彼女のおもちゃ箱みたいな部屋は、もっともっと見せて欲しかったな。
座り心地のよさそうなソファに、部屋中に散らばった大小のぬいぐるみ。
玩具の電車がぴかぴかライトを照らしながら走って、不思議な形をしたランプが部屋の真ん中にぶら下がってる。
棚の上に乱雑に置かれているように見えるアクセサリーや置物や小物。
意味ありげな絵画。
ここはホグワーツにある一室です、って言われても信じるわと思った。
そこに住んでるアイリス・アプフェルも、魔法? 使えるけど、それがどうしたの? みたいな雰囲気がある。
彼女が不意に、あの装飾品をじゃらじゃらさせながら長い裾の民族衣装みたいな上着の内ポケットから
お洒落な小型の杖を取り出して、ひょいと部屋の灯りをつけても驚かないよ。
でも服や装飾品は絶対に自分の手で触れるんだろう。

ブランド物より、4ドルくらいのアクセサリーに胸がときめくのよ、と90を超えて精力的に街に出て、
ハーレムやフリーマーケットなどにもどんどん足を運んで、値切り交渉もバンバンして、
「私は発掘してるの。これは大変な作業なのよ」
という姿には脱帽するしかない。
なにかを注意深く見定めて、心動かされるものを探すって、とんでもなく労力が要ること。
本屋さんで本を探すのだって、疲れてるときには億劫になる。
世界中を巡って、自分の目で見て、触れて、心に響いたものを求め、
なければ欲しいものを自ら生み出す情熱を持った彼女を見ていたら、
ついこの前読んだ音楽の記事で、宇多田ヒカルさんや椎名林檎さんがどれほど古今東西の音楽に触れ、
精通しているか、というのを読んだんだけど、そのことをふと思い出した。
当たり前だと言われるだろうけど、
その道を極める人は、その道について本当に詳しいんだなあ。
「服を見れば、それがどんな時代だったか分かる」
と彼女が言ったけれど、
それはアイリス・アプフェルが被服の歴史を知り、その文化と時代背景とを紐づけて考えることができるから。
「ルールなんてどうでもいいのよ。あっても破るだけだから」
そういう彼女は、きっと誰よりも服飾の基本を知っている。
だからこその説得力と存在感なんだろうね、と映画を見ている間ずっと思ってた。

「時代が私に追いついたのかしら」
なんて言葉、どんな風に生きたら口にできるんだろう。
かっこいいなあ、と震えるばかり。
彼女の生き方に、元気を貰える。
そんな映画。

ついでに、ビル・カニンガムが何度か出てきて、その度にひとりで「ビル!!!」と心の中で叫んでいた。
知ってる人(知人じゃないけど)が思いがけず出ていて嬉しい感じ。
相変わらず素敵な笑顔だった…。
ビル・カニンガムが自分の旦那の誕生日会に来て写真撮ってくれるなんて素敵すぎる。
心に響いたものだけを撮るビル・カニンガムの、心に響く人たち。



他には、
マネー・ショート 華麗なる大逆転」↓ネタバレ反転
副題に偽りあり。誰も大逆転しないし、ポスターの4人はタッグを組むわけじゃない!!
ウォール街VSアウトロー の煽りで、スカッとする映画だと思い込んで観に行ったよ! スカッとしない!!
ブラピ演じるベンに(間接的に)怒られてしゅんとしたわ。

でもリーマンショックがどうやって起こっていったのかを知るには、いい映画。
その後、ネット上でこれを押さえて観に行くと分かりやすいよ、という金融用語解説を色々見てたら、
とても楽しくて勉強になった。
映画の中でも、分かりやすく例え話を駆使して解説してくれていたので、ちんぷんかんぷんにはならないと思う。


SHERLOCK 忌まわしき花嫁
公式が思いっきり楽しんで二次創作しました!
みたいな、楽しい映画だったけど、一見さんには厳しい映画。
ワトソンのシャーロックの心のヒーローっぷりに震えるお話だった。
ええと、これってなんて言えばいいの。
もともと公式が現パロ(現代版パロディ)していたものを原作寄りに寄せたわけだから、
原作パロという意味での原パロ???
ええと、とにかくワトソン本当に男前。
ホームズの兄ちゃんマイクロフトの原作寄りバージョンは視覚的に凄まじかった。

こんなことを書いていたら、
「シャーロック・ホームズとジョン・ワトソンが現地メディアが選んだロンドンのベストカップル第1位に!」
という、
「ん? ちょっとなにを言っているのかよく意味が分かりませんね」
みたいな記事が友達から送られてきて今混乱してます。
ちょっとなにを言っているのかよく意味が分かりませんね。

ええと、次は93歳のシャーロック・ホームズを観に行きたいと思います。



wonder wonderfulの同人誌再版後、一言を下さった皆様ありがとうございます。
再版を喜んで下さったことに、私が嬉しくなっています。
ふたりの幸せを願って下さることにも、感謝ばかりです。
彼らを大事に思って下さって、本当にありがとうございます。

2016.02.29

個人的映画鑑賞月間

レオナルド・ディカプリオが遂にオスカーを受賞して、自分で思っていた以上に
「よかったー!」
という気持ちがわいた。
最近の出演作品、楽しそうだけど内容がエグそうで気持ちが疲れそう、と敬遠気味だったんだけど、
それでもすごく嬉しい気持ちになったから、やっぱり好きなんだなあ。

ジョニー・デップ目当てで借りたギルバート・グレイプが私のディカプリオ初見映画でしたが、
知的障害を持つ弟役で、あの子演技してるの? 本当に? と驚いたのを今も覚えてる。
(ジョニー・デップの、悩み葛藤する若者という素直な役どころもすごく好き)
あんまり驚いたので、「ボーイズ・ライフ」を借りてきて、それからの数年は映画が封切られる度に観に行った。
「太陽と月に背いて」(ヒステリックで、狂気的で、残酷なまでに煌びやかな才能を持つランボー。
僕の可愛い金色の猫、とヴェルレーヌがランボーに言ったと思ってたんだけど、今ちょっと調べてみても出てこないな。
勘違いか。でも、(記憶が間違ってないなら)まさしくこの時のディカプリオは「可愛い金色の猫」も納得)
「ロミオ+ジュリエット」(美しかった…。歯を抜いた後、試写会行ったら、あまりの彼の美しさに痛みが飛んだ思い出)
「マイ・ルーム」「タイタニック」「仮面の男」(私これ三銃士込みで大好きなのに、ラズベリー賞とか許すまじ)「キャッチミーイフユーキャン」…きりがないな。
タイタニック以降、悪役とかマッチョ系とか、とにかくイケメンイメージから離れて行こうとする印象が強くて、
あくの強いお話にガンガン出てる気がするけど、また「マイ・ルーム」みたいな、ほっとするようなお話にも出て欲しいな。
今の彼が、どんな風に演じるのか見てみたい。
おめでとうございます。

2月3月は見たい映画が多い。
1月2月に見た映画の記録。

スター・ウォーズ/フォースの覚醒 公式HP
パディントン 公式HP
オデッセイ 公式HP
キャロル 公式HP
信長協奏曲 公式HP
スティーブ・ジョブズ 公式HP


以下 ネタバレありまくり雑感です。



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2015.01.25

スターズオンアイスや観劇もろもろ

新しい年が始まってもうすぐ一月経とうとしているこの現実。
年が明けてからのばたばたがやっと落ち着いてきました。

前回の日記を見たら町田君引退でへこんでいて、
つい先々週はアイスショー(スターズ・オン・アイス)を見に行ったんですけど、
去年はここで町田君の生演技を初めて見たんだったな、と思いを馳せたりしていました。
一度だけでも生で彼の演技を見ることができてよかったと思おう。

そしてやっと初めて見ることができた高橋君のジャンプが助走のあまりの少なさに慄きました。
なんだあれ。
ふわっと飛んだ。力みなく飛んだ。
テレビで見ている人が目の前で踊っていると、どうにも生身に思えない瞬間がよくあるんですが、
高橋君て本当にいたんだなーと改めて思いました。
I'm kissing you プログラム見てみたかったので、嬉しかった。
客席の歓声も凄かった。さすが。

アイスショーは普段見られない群舞が好きなんですが、今回も豪華で楽しかったな。
パトリック・チャンが相変わらずにこにこ。本当に、にっこにこで好青年。見てるだけで楽しくなってくる笑顔。
椅子使う群舞かっこよかったな~。
でも毎回言いますけど、目が足りない。順番に演技してください。全部見たいんだ。

あっこちゃんの迫力や、無良君の情感たっぷりな演技や、佳菜子ちゃんのしなやかさ。
織田君は出てくるとなんとなく客席が微笑ましい空気が流れるのが面白かった。
小塚君は登場した瞬間に全日本のこと思い出して、
近所のおばちゃんみたいに「よく頑張ったねええええ」と涙ぐみそうになりました。
多分そんな人たくさんいたはず。
彼は最近見る度に男前度が上がってる気がするんだけど、あれはなんなんだろう。
知子ちゃんは小さいから、袖から出てきてそのシルエットだけでわかっちゃうのが可愛い。
しかし、しっかりとした、気の強そうな顔つきではあるよなといつも思います。
おでこが賢そうだよね、知子ちゃん。
ペアの木原君の上半身が見る度にむきむきしていってるのがすごい。
成美ちゃんは毎度、見ているだけで元気になるなあ。

涙が出たのは、ゴルデーワさんという方のレミゼ。
「夢破れて」の曲と共に彼女が滑ると、その感情がひたひた、時にうねるように迫ってきて、
たまたま私が楽曲の内容を知っていたからということもあるんだろうけど、胸に迫る演技でした。
フィギュアスケートが舞台なんだなと思うのはこういう瞬間です。
そうそう、ライサチェックさんが黒鳥をされたんですが、登場した瞬間からのラスボス感。
全身真っ黒で細いのに大きくて、しゅっとしてるんですよ。ターミネーターとかに出てきそうだった。
吹雪の音が曲の合間に入って、その度に彼の後ろにごうごうと唸り叩きつける吹雪が見える。
怖い。
無表情でびゅんびゅんくるくるするライサチェックさん。
圧倒的な存在感。
最後まで吹雪を背負って、リンク周辺の体感温度を著しく下げて出て行かれました。

そして去年の夏、泣く泣く断念して見ることができなかった真央ちゃんのプログラムもやっと生で見ることができた!
これは盛り上がるし、本人も楽しそうでいいなあ。

今年はどれだけアイスショーに行けるかどうか分からないけど、
とりあえず前から行ってみたかった国別だけは一日行こうと思います。
そのために今から仕事を調整しにかかっている。

年末に広島で「バンクーバーの朝日」を見て(八丁座という映画館、座席が広くてクッションもちょうど良くてとても好きな映画館)
(亀梨君はやっぱり綺麗な顔をしているなあ。妻夫木君の父親役の佐藤浩市さんがすごい良い味出してた。
あんなお父さん、絶対自分の親だったら困るんだけどな。頑固で意地っ張りでしょーもないけど、でも家族のことを愛していないわけでもない。
国が貧しくて、新天地を夢見て国を渡った人々が日本にもたくさんいて、
その人たちが別の国で根を張り、その国の人になっていく過程で起きた様々を想像することはとてもできないけれど、
彼らから受け継がれたものがそれぞれの場所にあるんだろうとぼんやり思った)、
年始は井上さんの「モーツァルト!」を鑑賞し
(井上さん、長髪かつら似合うな…。若者だった。しかしすごい熱量と迫力。一回だけでも観ることができてよかったな)、
先週はお勧め頂いた「海をゆく者」を観劇して、やっと気持ちが落ち着いてきました。
「海をゆく者」はダメなおじさん達が出てきて、そのだめっぷりに驚くんですけど、
5人のおっさん達が豪華すぎて、眼福でした。
吉田鋼太郎さんがうるさくてうるさくて。エンドレスでうるさいのに、最後この人に泣かされますからね。
クリスマスキャロルだめなおっさん達バージョンみたいな話でした。
小日向さんの存在感もすごくて、もう出てくるだけでみんな笑ってる。
セリフのスピードも量も半端ないから、最初はそれを聞き取ることで精一杯な気持ちなんだけど、
ふと喋っていない人たちを見ると、皆さんそれぞれの役柄で方々で自由に演技しまくっているので、
それも追いたくて、アイスショーの群舞じゃないけど目が追いつかなかった。
楽しかった~。広島の友人達にも勧めようと思ったら、平日上演……。
でも、時間が合えばぜひぜひ。

ぎゅっと遊んだので、また頑張ろう。

2014.09.18

ミス・サイゴン/舞台

ミス・サイゴン
友人がチケットを取ってくれたので、初めて観に行きました。
なんか有名なやつ、という程度の認識で、いざ観に行くとなってさらりと予習したんですが、
これ、ある程度気力がないとしんどいだろうなと。
ベトナム戦争末期のサイゴンで出会った少女とアメリカ兵の恋。
この設定だけで既に「ああ……」と、まだ何物も知らないにも関わらず、暗雲しか予感できない。
観終わった後、元気でいられるかなーと思いつつ。

全然ミス・サイゴンとは関係ないんですが、
実写版守り人シリーズのキャストについて、この友人が
タンダはNHK朝ドラ「花子とアン」に出ている朝市がいいんじゃないかと言ってまして、
この人天才か! と思いました。
もう、私は花子とアンに出てくる男性陣の中で朝市がダントツに好きなんですが、
タンダね! いいと思う!
バルサが綾瀬はるかちゃんだと思うと、窪田くん(朝市)くらい甘いマスクでもいいと思うよ!
ものすごくテンションあがった。
アニメ版タンダもなんだかんだとイケメンだったしな。
早くキャスト発表されないかな。
楽しみで仕方ないです。

その朝市はどうやらスピンオフが放映されるとかで、
でもうちBSないのにどうしたらいいんですか。
スピンオフはBSとか、鬼ですか。
とにかく朝市に似合いの素敵なお嫁さんでありますように。
気持ちが色々と忙しいわ。



やっと本題。
ネタバレありまくり感想です。
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2014.08.11

レディ・ベス/舞台

そういえば前々回に書いたシスター・アクトの公式HPはこちらです。

そして今回のレディ・ベスはこちら
ネタバレ全開です。

エリザベス女王即位前の時間軸。
義姉メアリーやその側近らに存在そのものが脅威とされ、迫害されたりロンドン塔に幽閉されたりする中で、
ある日出会った吟遊詩人ロビン・ブレイクと恋を育み、
個人の愛に生きるか、自身の責務を果たし人々を幸せにするための公人として生きるかの選択をするお話でした。

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